新任担当者様向け 今さら聞けない新卒採用のスケジュールと採用設計!
目次[非表示]
- 1.新卒採用スケジュール全体の流れ
- 1.1.新卒採用スケジュールの変遷
- 1.2.新卒採用の実態とは
- 2.インターンシップ期間におけるよくある質問
- 3.説明会についてよくある質問
- 3.1. 自分の時とどれだけ変わった?現在の就活スタンダードとは?(本サイト/3月以降)
- 3.2.対面説明会で学生が感じたこと
- 3.3.WEB説明会で学生が感じたこと
- 3.4.説明会はいつやればいいの?
- 4.選考についてよくある質問
- 4.1. 一般的な選考フローは?
- 4.2.学生が選考になかなか進んでくれない!?
- 4.3.内定出しまでの所要日数はどのくらい?
- 5.まとめ
新卒採用スケジュール全体の流れ
新卒採用スケジュールの変遷
近年、新卒採用スケジュールの変化が激しいことはご担当者様にとって身に染みて感じることかもしれません。また、採用担当になったばかり!という担当者様にとっては、どう変化しているの?と気になるところかもしれません。
本コラムでは、まずは、採用スケジュールの変遷から説明をさせていただければと思います。
新卒採用の早期化という言葉をよく聞くかもしれませんが、採用の早期化はこの2年3年で起こっている事ではなく、実は2013~15年で既に3月1日広報解禁を待たずして広報が行われていました。しかし、学業に支障が出てしまうと大学側の声から2016年に広報解禁のスケジュールが3月1日に落ち着きました。新卒採用のスタートは3月1日からというイメージの裏にはこういった背景があります。
新卒採用の実態とは
上記のように3月以降が新卒採用の広報解禁というルールがありながらも、実態としては3月以前(=「プレサイト期間」と呼ばれることもあります)にインターンシップとして広報解禁(=「プレ掲載」と呼ばれる事が多いです)ができます。学部生でいうと3年生の6月から広報が解禁され、3年生の3月に選考がスタートしているような状況です。
多くの企業では、3年生の6月頃から学生と接触し、2月末には内定出しをする企業もあります。3月以降にも説明会を実施はするものの、あくまで保険のような活動となっている企業も存在します。特に理系学生や優秀な学生を採用ターゲットにしている企業によく見られる傾向です。
実際に、リクルートが出している内定率調査でも、3月1日時点で24卒学生の内定率はすでに30.3%と高水準になっています。3月1日時点の内定率は年々上昇しており、多くの企業がインターンシップ期間の採用活動に力を入れていることが見てとれます。
インターンシップ期間におけるよくある質問
学生はどうやってインターンシップに参加するの?
学生は、主に「ナビサイト」「学校」「イベント」「リファラル(社員からの紹介)」を経由してエントリーしてきます。
エントリーとは、その企業に「興味がある」という意思表示(企業に個人情報を渡してもいいよ)のようなものです。ナビサイトでは、2種類のエントリーがあり、インターンシップエントリーとインターンシップセミナーエントリーです。
インターンシップエントリーは、学生からの意思表示(企業に個人情報渡す)のみになります。
インターンシップセミナーエントリーは、学生からの意思表示に加え、学生がインターンシップを予約したことになります。
インターンシップセミナーエントリーしてもらうことでようやく、学生と接触の機会を得ることになります。そのため、学生と接触するためには、「セミナー」へのエントリーが必要になるのです。
インターンシップに参加した学生は選考に案内していいの?
結論、ナビ媒体上でプレ期間(3月1日広報解禁前)に選考案内することは、「NG」です。
理由は、プレ期間はあくまで学生の就業体験を目的とした期間であり、採用に直結する記述や案内をしてはいけないからです。国の考えとして、インターンシップはインターンシップ、選考は選考と切り分けています。インターンシップ参加後に採用選考を希望する場合は、3月1日以降に再度エントリーして選考に参加するように方針が出ています。
しかし、インターンシップから直接選考につなげて内定出ししている企業が大多数です。ナビサイトや各採用手法でも、上記ルールをわかっていながら、実情に即していないとして、個人情報の取得を可能とし、その利用方法についてはお互い暗黙の了解で採用を進めているような状況です。
ご存じですか?インターンシップの4類型
25年卒から採用の早期化を鑑みて公式にインターンシップからの選考を行っていいとする改定が行われました。類型に分かれるため一見規制に思えるのですが、実は緩和されているのが今回の改定です。
それが下記4類型への対応です。「①オープンカンパニー」「②キャリア教育」「③汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「④高度専門型インターンシップ」の4つに分類されます。特に③④インターンシップに参加した学生には採用活動開始以降に限り、採用(選考)への個人情報の活用を可とする方針となりました。
一方、①②については今までの「業務体験」をしなくてはいけない1day仕事体験を緩和したような形になり、なかなか実施が難しかった企業様にとっては実施ハードルが低くなったと考えても良いのではないかと思います。
実際、③④の内容を実施できる企業様は少なく、①②の開催にとどまっている企業が多いのが現状です。ただ、4類型への改訂や早期化の状況を受け、昨年からインターンシップの広報を前倒しにする企業が約半数を占めています。インターンシップ期が主戦場となり、さらに厳しい採用活動になることが予測されます。
説明会についてよくある質問
自分の時とどれだけ変わった?現在の就活スタンダードとは?(本サイト/3月以降)
マイナビ「2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」より
私が就活をしているときはほとんど「対面」一択だったのですが、現状WEBの方が圧倒的に参加学生が多いです。特に、研究室など大学から離れられない機会の多い理系学生・院生などはWEBを好む傾向にあります。また、WEB開催の企業が多いため、学生は移動時間を考えず連続で説明会に参加することもあります。では、それぞれの実施方式の特徴を見ていきましょう。
対面説明会で学生が感じたこと
23卒採用と比較して新型コロナウイルス感染拡大が不安になっている学生は減少しましたが、純粋に交通費や移動時間を懸念して対面参加説明会を敬遠する学生は半数以上にわたります。
「会社の雰囲気を感じ取ることができる」「社員の人柄に触れることができる」など会社のソフト面を伝えるには最適ですが、せっかく対面で説明会に参加したのに登壇するのは人事だけ…などとなってしまうと志望度がなかなか上がりにくいということもあるかもしれません。
また、入社したいという熱意を伝える「自分のアピールの場」とする学生もいるようです。
WEB説明会で学生が感じたこと
上位1~3位は 利便性に関するメリットが対面よりも大きく、利便性以外の項目としては、「チャットなどで質問がしやすい」という点が目立っているように思います。現状、応募が殺到しているようなネームバリューのある企業以外、例えば中小の企業では「WEBでないと学生が来ないから」という消極的な理由でWEB説明会を続ける企業も少なくありません。
対面で少なくてもいいから学生と会って、1人ひとりのフォローを強化し選考の進捗を高めて採用を行っていく企業、WEBでライトな層も含めて多くの学生と会ってその後志望度を高める施策を打っていく企業、採用フローの組み方も多様化してきています。
当社では、よく対面とWEBのいずれも開催しましょう、というお話をする機会が多く、学生が希望する形式に合わせられるようにすることが重要だと考えています。
説明会はいつやればいいの?
こちらは、学生の属性別に異なりますので、以下にまとめております。
<文系男子>
マイナビ「2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」より
午後2時~3時に人気が集まっています。男性採用に注力している企業様では、「午前中だと極端に当日のドタキャンが多い」という声も多く寄せられますので、午後に設定するのがベターと言われています。
<文系女子>
マイナビ「2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」より
午後2時~3時が人気ですが、男子と比べると午前の参加希望率も高いです。いずれの企業様であっても、女性の参加率は比較的高く、当日キャンセルになる際もきちんと連絡をくれるケースが多いです。
<理系学部生>
マイナビ「2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」より
こちらが全体的にばらける結果となりました。研究室にいる間も教授に申請すれば説明会に参加できるため、研究室にいる時間帯&終わった直後が参加しやすいようです。夜遅くの開催でも集客が見込めるため、あえて夜に開催する企業様もいらっしゃいます。
③説明会ではどんな内容を話せばいいの?
企業様がよく話す「企業理念」や「製品・商品について」「業界説明」など会社の事業に関する部分は意外にも学生にとっては、人気がないことがわかります。厳密にいうと人気がないわけではないのでしょうが、どちらかというと「入社後の待遇や具体的な仕事内容」など、入社後の自分に差し迫った内容ほど、「聞きたかった」と答える学生が多くいるように感じます。
基本給や月平均の残業時間については、ナビ上に記載できる内容のため、情報があれば割愛いただいて構わないかと思います。ただ、ボーナスの実績、例えば支給額はいくらだったのか、そもそも業績が悪化してもらえなかったことがあるのかなど、細かく聞かれるケースが多くなってきています。
特に中小企業では、大手とバッティングした際に年齢別の年収を聞かれることも多く、若者の貧困問題を受けて、学生も給与面にシビアになっていることがうかがえます。就職観も大きく変わり、転職も視野に入れた就職活動だからこそ、会社全体より自分がその会社で何をするのか、を重視する学生が増えてきているのかもしれません。
▼新入社員意識調査では、新入社員が会社に求めている事などについて調査をしています。
また、学生が聞きたい「情報」としては、選考方法や選考のポイントなど、選考時に役立つ内容が上位を占めました。さらに近年では、「自分が新入社員として働くイメージが湧かない」「そもそも労働に対して良いイメージがない」学生も増えてきています。そのため、赤で塗りつぶしたような入社後の仕事内容、先輩社員の入社の決め手など、より具体的に入社後のイメージを抱かせることができるか、が他社との差別化の一手にもなってくるかと思います。もし、実際に社員を登壇させて説明会を行う際は、学生が最も会いたい「入社2.3年目の社員」に登壇してもらうのがおすすめです!具体的な入社後のイメージを描くために、社員の生の声を届けることも重要になってきそうです。
選考についてよくある質問
一般的な選考フローは?
下記が、内定までの基本的な流れになります。※あくまで一例です。
①インターンシップ、説明会予約
②インターンシップ、説明会参加
③一次選考(WEBが多い)
④二次選考(WEBが多い/中小企業ではニ次面接を行わないことも)
⑤最終選考(対面が多い)
⑥内定出し(選考開始から平均1ヶ月~2ヶ月)
⑦内定承諾
学生が選考になかなか進んでくれない!?
オンラインの影響か…世代の特徴か…なかなか判断の難しいところですが、近年の採用市場では説明会後の進捗率に不安視をしている担当者さまとお会いする事が増えました。
以前は、「エントリー」≒「入社したい」と捉える企業も多く、実際にもそういったきらいがあったのであながち誤りではなかったのですが、現在は「エントリー」≠「入社したい」と売り手市場ならではの独特な背景があります。
では、学生はどのタイミングで「入社したい」とおもうのか?志望度が上がるタイミングについての調査を見てみましょう。
マイナビ「2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」より
結論、インターンシップへの参加時が最も志望度があがりやすく、1次選考や2次選考で志望度が上がっていく学生が多い様です。では、選考に進んでもらうためにというお話をさせていただくと、貴社は選考参加前に、エントリーシート(=ES)による選考や適性検査による選考を実施していませんか?
接触学生数にもよりますが、実はESを避ける学生が年々増えてきています。
そのため、進捗率を上げたい!とお考えの企業様はES提出のタイミングを1次選考を終えて志望度が上がったタイミングなどで案内すると提出率も変わりますし、そもそも1次選考へのハードルも下がるため参加学生が増えるかもしれません。
内定出しまでの所要日数はどのくらい?
内定出しまでは初回接触(説明会参加)から約1ヶ月~2ヶ月が平均的です。
GW明けからは学生が内定獲得を急ぐ時期でもあり、企業にとっても焦りを感じる時期になりますので、よりスピーディーな対応が必要となってくるでしょう。
また、選考は貴社が学生を見極める場でもありますが、学生の志望度を上げるための場でもあります。接触していない期間に学生は他社の選考も受けており、志望度は基本的には下がっていく、ということも留意しておきましょう。
内定後の即承諾を目指して、志望度は、内定承諾のタイミングに向け、徐々に上げていくことが大切です。そのためにも、まずは採用担当が1人ひとりと向き合い、どういった価値観で就活を行っているのか見極めることが重要です。選考以外にも接触の機会を設け、まずは話してもらえるように信頼関係の構築から始めていきましょう。
まとめ
今回は新任担当者様向けに「今さら聞けない」ということからお伝えをさせていただきました。採用歴の長い担当者様にとっても市場の振り返りなどのお役に立てておりますと幸いです。
実際、変化の激しい新卒採用市場では「企業が学生を選ぶ」のではなく、「企業が学生に選ばれる」という感覚が近いかもしれません。あくまで、貴社のターゲット学生に選んでもらうためにはどうするのが良いのか?ということが重要となります。