【新卒面接官向け】学生の志望度を上げる面接方法とは?
*この記事の結論*
・「話しやすさ」こそ、志望度醸成の第一歩
・面接官である前に、いち社会人として誠実な対応を
・逆質問がなくても、「FAQ」で回答すべし
面接は見極めだけでなく、志望度醸成の場でもある!という言葉は、人材採用に関わっている方であれば、一度は聞いたことがあるかもしれません。オンラインが主流になった昨今はとくに、画面の目の前にいる人事・面接官の印象が、そのまま会社全体の印象に直結します。
職場見学に来てくれているのに、何度も人事面談しているのに、最後にはいつも辞退されてしまう…。それはもしかすると、「面接」の場で志望度を上げられていないからかもしれません。
目次[非表示]
- 1.学生が自社の選考に進む理由
- 2.少しの気遣いで緊張をほぐす!
- 3.面接官の印象を上げるには?
- 3.1.フェアな自己開示
- 3.2.傾聴の「あいうえお」
- 3.3.返答に対して、ひとことコメント
- 4.面接終わりにもう一押し!
- 5.まとめ
学生が自社の選考に進む理由
「説明会にきたうえで自社の選考に進んでいるのだから、志望度は高いはずだ!」
そう思っていざ面接をしてみると、「熱意をあまり感じない」「志望動機が薄く、二次面接以降で落とされてしまう」など、お悩みがあるのではないでしょうか。なぜなら選考に進んでいる多くの学生は、必ずしも最初から志望度が高いわけではないからです。
選考に進むパターンとして、下記のようなケースが考えられます。
1 志望度・入社意欲ともに高いパターン
2 辞退するほどの理由がないパターン
3 選考が通りそうだからパターン
4 その場の雰囲気に流されたパターン
「1」の学生については、選考中によっぽど不誠実な対応をしない限り、志望度は維持できる可能性が高いです。学生側の熱量も高いため、選考中の辞退率も低いでしょう。
「2」については、入社して「も」いいな、という程度の志望度です。企業からのアピール次第では、最も「志望度を上げやすい」ゾーンだといえます。学生側に「意外と良い会社なのかも!」と思わせることがカギになってきます。
例えば、学生が貴社に興味を持った点を深堀りして補足したり、第一志望の会社に求めている条件のなかで、自社にもあてはまっている点を伝えるなど、「あれもこれも揃っている」と、学生側にメリットを提示していくといいでしょう。
「3」は、例えば「筆記試験なし」「グループ面接・ディスカッションなし」など、学生側の負荷が少ない選考フローを導入している企業には多いかもしれません。自分の苦手な選考方法を避けて、効率よく就活を勧めようとする学生に人気を得ているケースです。
選考が面接に偏りがちな分、尚更、見極めに振り切りすぎて志望度をあげきれない、という状態にならないように注意が必要です。
「4」については、合同企業説明会やイベントなどから接触した学生に多く見られます。短時間での接触となるため、面接中にも改めて企業説明の時間を設けたり、学生の勘違いをなくすよう、情報をすり合わせておくなど、情報の補完が大切になってきます。
少しの気遣いで緊張をほぐす!
「面接前に緊張をほぐすのは、企業側が学生の本音を見やすくするため」
アイスブレイクの重要性は、それだけではありません。
志望度醸成の観点でいえば、学生に、「緊張をほぐしてもらったおかげで、自分の素を引き出してもらえた!」と感じてもらうことこそが大事なのです。
「面接冒頭~終了まで、学生が話しやすい雰囲気を作り出すこと」
これが面接官に求められる、志望度醸成のための第一歩です。
(例)
・通信環境への配慮
「○○さんのお声はしっかり聞こえていますが、こちらの音声は届いていますか?」
「途中、もし映像が乱れたら遠慮なく言ってくださいね」
・空調への配慮
「空調の温度は大丈夫ですか? 暑い・寒いなどがあれば言ってくださいね」
・提出物がある場合は、事前にしっかり読み込んでおく
「〇〇という部活を初めて知ったんですが、面白そうな活動内容ですね」
「実は私も学生時代に野球をやっていて、〇〇さんと同じポジションだったんですよ」
・就活の状況などを尋ねる
「午前中は、ほかの企業の説明会などに参加されていたんですか?」
「弊社の合説ブースに来てもらったと思うけど、イベントには積極的に参加されているんですか?」
面接官の印象を上げるには?
面接官としての振る舞いに自信がないという方は、まずは、以下の3つのポイントを押さえておくことをオススメします。
フェアな自己開示
「学生には根掘り葉掘りと質問攻めにするくせに、面接官は名前しか名乗らない」内心では、そんな風に感じている学生もいるはずです。
相手に自己紹介を求めるなら、まずは自分からしっかりと自己開示をすべきではないでしょうか?名前と役職だけに留まらず、下記のような内容について、ぜひ付け加えてみてください。
・名前
・入社年次、社歴
・所属部署、ふだんの仕事内容
・この会社に入った理由、きっかけ
・今日の面接を担当する理由
(現場目線に立って、学生からの質問に答えるため/会社の経営に携わる者として、将来性のある学生をみたいため など)
ちなみに・・・
対面の面接であるなら、最初に「名刺を渡して挨拶する」のもいいのではないでしょうか。面接官と就活生という関係の前に、「いち社会人にとして、対等な立場で挨拶をしてくれた」という誠実な印象に繋がるかもしれません。
昨今のオンライン就活下であれば、社会人から名刺をもらう機会など非常に稀だと思いますので、それだけで記憶に残るのではないでしょうか。
傾聴の「あいうえお」
面接中、学生の話を聴くときの姿勢について、4つのポイントをご紹介いたします。
①あい ・・・ 相づち
②う ・・・ 頷き
③え ・・・ 笑顔
④お ・・・ 驚き
社会人として基本中の基本ですが、このうちのどれか一つでも欠けていると、非常に暗く、覇気のない面接官に映ってしまいます。とくに相づちや頷きは、「自分ではしっかりやっているつもり」になりやすいので注意が必要です。
オンライン面接であれば、普段の反応の倍くらい大げさにしていてもちょうどいいバランスになるため、舞台俳優になったつもりでオーバーリアクションを心がけましょう。
返答に対して、ひとことコメント
面接官「志望動機はなんですか?」
学生「~~です」
面接官「では、次に自己PRをお願いします」
学生「~~です」
面接官「ありがとうございます。では続いて…」
と、こんなやりとりを15~30分間、繰り返してはいないでしょうか?
質問しっぱしで、学生の答えに対して反応しないという行動を繰り返しているだけでは、志望度は上げられません。
「そんなところに興味を持ってくださったんですね」
「説明会をしっかり聞いていただいたんだなと感じました」
「きちんと企業分析をされていて、なぜ自社を選んでいただいたのかがよく伝わりました」など、
ひとことコメント・感想を述べてから次へ進むことを意識するだけで、一問一答の尋問的な雰囲気にならず、自然な会話のキャッチボールになっていきます。
そうすることでより学生の緊張がほぐれ、さらに話しやすい空気に変わっていくという相乗効果も得られます。もし、どうしてもコメントなどが思いつかない場合は、「相手の発言内容を繰り返す」だけでも、「しっかり話を聴いてくれているな」という印象を与えることができます。
面接終わりにもう一押し!
面接が終了してひと安心、といきたいところですが、まだ気は抜けません。面接後、質疑応答の時間を設けている企業も多いと思いますが、ここで一つお尋ねします。
学生から質問がでなかったとき、そのまま終了していませんか?
その対応、実は勿体ないかもしれません。
おそらく、多くの企業が「よくある質問」への回答を事前に準備しているはずです。そこからいくつか抜粋して紹介したり、質問しやすいように誘導してあげるなど、まだできることは残っています。
(例)
「最近よく聞かれる質問だと、○○というのがあるんだけど、そういうのは気にならないですか?」
「残業や有給の取得率などは、説明会でしっかり実態を聞いていますか?」
「○○部署を志望しているけど、具体的な仕事のイメージなどはついていますか?」
質問がない=自社に興味がないと決めつけるのはまだ早いです。
「何を聞けばいいのかわからない」「志望度アピールのための質問は用意しているが、本当に知りたいことは聞きづらい」など、その裏には本音が隠されています。ぜひ面接官には、そういった学生の心理を汲み取っていただきたいところです。
また、気が抜けやすい終盤だからこそ、
・面接終了と同時に、伸びをしたり首を回したりと、リラックスした雰囲気を出している
・会場から見送る際、エレベーターが閉まりきる前に背中を向けている
・オンライン面接なら、学生よりも先に、退出ボタンを押して終了している など
上記のような態度をとっていないでしょうか?
面接中は取り繕っていても、そういった小さな対応が、志望度に影響を及ぼす可能性は否めません。面接終了後にも、ちょっとした気遣い・配慮を心がけることが大切です。
「この度はたくさんある企業のなかから、弊社に興味を持っていただきありがとうございました」
「今日は緊張したでしょうから、この後はゆっくり息抜きしてください」
「これまでの私たちの対応のなかで、気になる点や改善してほしいことはありましたか」
など、学生への「労い」は示しても、自分たちの「疲れ」は表に出さないよう、改めて意識していただけると幸いです。
まとめ
最後まで閲覧いただきありがとうございました。
新卒採用市場の変化に伴い、面接官に求められるスキルや役割も、年々複雑になってきていると感じます。見極め「だけ」をしている面接では、そのうち学生側から愛想をつかされてしまうかもしれません。自社に興味を持ってくれた学生を、いかに志望度を維持したまま選考フローから離脱させないか、そこまで頭を回しながら面接に臨む必要に迫られています。この記事が少しでも、皆様の面接対応向上のきっかけになっていれば幸いです。採用総研では面接官研修などお手伝いしておりますお気軽にお問合せください。
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