人気業界なのに応募がない…IT企業採用のポイント
コンピューターができた1946年から100年足らずで急成長を遂げているIT業界。
新型コロナウイルスの感染拡大により企業のクラウド活用や、DX(デジタルトランスフォーメーション)など経済社会のデジタル化をさらに促進させ、今後も需要が高まっていく業界として、世間からも学生からも注目されています。
ただ、実際に採用に携わっていらっしゃる担当者様から見ると、このように思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか…。
「なんで人気業界なのに当社には応募がないの!?」
今回はそんなIT企業の採用の現状と、今後の対策についてお伝えします。
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IT企業の採用はなぜ難しいのか
今や学生全体の約4分の1が就職先として検討しているIT業界。
文理・男女問わず人気があり、他業界でよくありがちな「興味本位でインターンシップに参加してみよう」というライト層も少なく、実際に選考に進む志望度のある学生の割合が高いのが特徴です。
※出展:マイナビ 2023年卒大学生業界イメージ調査
人気の理由を紐解いてみると、「人の役に立つ」「将来性」「技術力・商品企画力」「社会全体への影響力」「自己成長」などがランクイン。
※出展:マイナビ 2023年卒大学生業界イメージ調査
また、実際に学生に話を聞いてみると
「リモートワークなど働き方も柔軟な会社が多そう(文系男性)」
「産休・育休を経てもスキルがあれば活躍できそう(文系女性)」
「各業界でDX化など進めている印象があるので、幅広い業界と仕事ができそう(文系男性)」
などなど、業界全体の展望や働き方の面で非常に好印象であることが伺えます。
ですが、実はここが「エントリーが来ない」問題の落とし穴。
上記に挙げた理由の中には「大手の有名企業にしか当てはまらない」「中小企業では叶えにくい」ものもいくつかあります。
実際に中小企業の採用担当者様にお話を伺うと、
リモートワーク…?いやいや、うちは基本出社だから希望に添えないかも…
当社は〇〇業界に特化したサービスを提供しているから、他の業界とはあまり関わりがないんだよな…
産休・育休の制度はあるけれど、くるみんマークを取得できているわけではないんだよな…
そんな企業様が大多数を占めているのが実情です。
私のお客様でも業界全体の漠然としたイメージに引っ張られて、勝手に学生が実際の働き方とギャップを感じて離脱してしまったり、福利厚生の充実度や事業内容の見た目の派手さに負けて結局大手に学生が流れていってしまう…そんなお悩みを抱えている企業様が多いです。
また、人生100年時代の到来を受けて新入社員全体の約3割が「3年以内の離職」を検討している昨今。(全国2022年度新卒新入社員マイナビ転職新入社員の意識調査より)
その風当りを特に受けているのがIT業界です。
特にエンジニア志望の学生は手に職をつけて転職や副業・フリーランスになるキャリアパスを前提に描いているケースも多く、
「今の会社は腰掛にして、転職しながら給料を上げていこう」
「ゆくゆくはフリーランスとして活躍したいから、ネームバリューのある会社に入社をして箔をつけよう」
と学生が大手志向に流れやすい業界でもあります。
さらにIT業界は特に他業界と比較しても何をやっているのかわりにくい会社が多く、
「果たしてどうすれば自社の魅力に学生が気づいてくれるのか…」状態。
そこで、IT企業が新卒採用で内定承諾をもらうためのいくつかのポイントをご紹介します。
IT業界が採用を行う上で気を付けるポイント
・「正しく」自社の事業と仕事内容を理解してもらう ・プラス・マイナス問わずリアルな自社の実情を伝える ・早期選考に惑わされず、内定承諾をもらえるスケジュール組みをする ・選考の中で学生を育て、自社の採用基準に合った学生を増やす ・自社で勤め上げるキャリアパスのみでなく、他社でも活用できるスキルがあることを 伝える ・「正しく」自社の事業と仕事内容を理解してもらう |
「正しく」自社の事業と仕事内容を理解してもらう
IT業界と一口に言っても、様々な分野に分かれていますよね。
新卒では主にインターネット、WEB業界/通信業界/ソフトウェア業界/ハードウェア業界/情報処理サービス(SI)業界などの5分野とするケースが多いですが、この違いを分かっている学生も少ないのが実情です。
いたずらに業界のキラキライメージに引っ張られて実際入社してみたら、全然聞いていた話と違います!想像と違います!なんてこともしばしば。
まずはマッチングを深めるために、そもそもの業界全体での立ち位置から、仕事内容の1日のスケジュールまでこと細やかにお話いただくことをおすすめしています。
また、選考の中では必ず先輩社員との交流ができる機会を設け、リアルな声を伝えて認識の齟齬がないかを確認するフローがあるとなお良しです。
プラス・マイナス問わずリアルな自社の実情を伝える
上記に付随してになりますが、入社後の離職を防ぐためにも、自社で「叶えられること」「叶えられないこと」はありのまま話しましょう。
特に残業時間が長い、客先常駐などの勤務スタイル、リモートワークの可不可などは後々のギャップに繋がりやすいです。
また近年退職者の口コミを見れるサイトや、インターンシップの口コミを見れるサイトのニーズが高まっていることもあり、こちらから提示しないと学生が勝手に検索し、自社へのマイナスイメージをより嫌な形で伝えることになってしまいます。
※出展:マイナビ 2023年卒大学生業界イメージ調査
IT業界では特に上記のようなマイナスイメージを持たれるケースも多いため、そのポイントを重点的にお話いただくのがベターかと思います。
意外なのが「仕事の魅力」の部分。業界の華やかなイメージに惹かれる学生が多いのに、仕事自体にはマイナスイメージを持つ学生の方が多いのです。
業界や会社全体で魅力的な事業を行っていても、リアルな消費者の声を聞くことが少ないため自分は歯車の一部だからやりがいを感じにくそう、というイメージや、1日中PCをカタカタといじっているだけで人との交流がなさそう、などのイメージも持たれがちなので、そこも留意する必要がありそうです。
早期選考に惑わされず、内定承諾をもらえるスケジュール組みをする
内定出しが早いのもIT業界の特徴。
2023年1月までに内々定を獲得している学生17.9%のうち、19.8%がIT・ソフトウェア・インターネット業界で占めています。(あさがくナビ2024年卒内々定率調査2023年1月度より)
また、バッティングしやすいコンサルティング系の企業も内定出しが早く、「自社も早く出さなければ…」と焦る採用担当者様をよくお見掛けします。
ただ、他社に合わせて志望度を高めないまま、ただ早く内定出しをするスケジュールを立てるのは本末転倒です。
もちろん選考中に他社に内定をもらったからと離脱する学生は出てきますが、本当に行きたい企業であれば、むしろ他社に内定承諾の期限を延長してもらってでも選考に進むもの。
また、早期に内定出しをして承諾を急かしてしまうと、承諾後の辞退も発生しやすいです。
いたずらに早く選考を進めるのではなく、確実に内定承諾をもらえるスケジュールを組んでいきましょう。
一概には言えませんが、早期選考であれば3月末~4月頭、3月からの本選考であればGW前の内定出しができるスケジュール感をご提案させていただくケースが多いです。
選考の中で学生を育て、自社の採用基準に合った学生を増やす
母集団が少なくなった今、歩留まりを上げていくことも必要になってきますが、せっかく学生が選考に進んでくれたのに、最終面接の段になって自社で働く理由がいまいち明確に伝わってこず、不合格になってしまう…そんなお話も多くいただきます。
業界全体が複雑化していて学生がなかなか他社と差別化して理解できないIT業界だからこそ、その働く理由作りを一緒に行い、選考に通る学生まで「育てる」必要性が出てきます。
人事とのキャリア面談やなるべく属性が似た先輩社員との交流を通して、「選ぶ」選考から「育て、マッチングする」選考へのステップアップを図ることも選択肢に入れることをおすすめします。
自社で勤め上げるキャリアパスのみでなく、他社でも活用できるスキルがあることを伝える
前述したとおり、1社に留まることをメインで考えず「ファーストキャリア」前提で学生が選考を受けに来る業界だからこそ、自社のキャリアステップのみを伝えるのではなく、他社でも役立つ汎用性のあるスキルを含めて学生に伝える必要があります。
上記のような学生をターゲットから外すことも選択肢としてありますが、成長意欲をもってキャリアパスを考えている学生がほとんどなので、その層を逃がさないように選考を進めていきましょう。
もちろん、入社後に他社へ引き抜かれないようにフォローアップをする必要はあるため、定期的な研修の実施や、本人の意思確認をこまめに行い、自社にいてもらい続ける魅力的な選択肢をこちらから提示することが必須になってくるでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
学生の就職活動に関する考え方も大きく変わり、常に時代の最先端で影響を受けるIT業界。
細かな工夫で学生に自社を選んでもらう可能性は大きく広がります。
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