高校生採用の基本的な方法
大学生の新卒採用が厳しい中、高校生の新卒採用のお問い合わせもいただく事が増えてきました。
高校生の新卒採用はルールやスケジュール、手法など大学生とは大きく異なります。
高校生の採用方法に向けて、基本的な方法をお伝えします。
目次[非表示]
- 1.高校生採用のルール①:直接交渉の禁止
- 2.高校生採用のルール②:学校斡旋が基本
- 3.高校生採用のルール③:1人1社制
- 4.高校生採用のルール④:厳格なスケジュール
- 5.高校生採用での注意点
- 5.1.広報相手は学生ではない!?
- 5.2.離職をどう防ぐか
- 5.3.スケジュールと事前準備
- 5.4.二次募集をどうするか
- 5.5.高校生は採用しやすい訳ではない!
大学生と違い、18歳とは言え高校生はまだ未成年であり、職業観も未熟と考えられてます。
またあくまで学生であるため学業が最優先であり、その妨げになる行為も認められておりません。
そのため、行政、学校、企業の間にスケジュールや手法など厳密なルールが設けられており、
それに沿った採用活動をしなければなりません。
参考記事
高校生採用のルール①:直接交渉の禁止
大学生の場合、大学や行政が支援する事はあるとは言え、あくまで学生と企業との直接交渉が前提となります。
しかし、高校生の場合は、企業と学生の直接交渉が禁止されているのが大きな違いとなります。
これは大卒の就職協定と違い、厳密なルールであり、電話やメールなどで企業から学生に直接連絡を取る事さえ禁止されています。
未成年である高校生を学校や行政が保護するためのルールとされています。
それでは企業は高校生にどうやって自社の事を知ってもらい、採用活動を行っていくのでしょうか?
高校生採用のルール②:学校斡旋が基本
企業が高校生採用を行う流れをお伝えします。
1.ハローワークに求人票提出
企業はまずハローワークに求人票を提出する必要があります
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2.求人票承諾印「受理番号」取得
求人票には法令違反や記入不備などがないかどうか確認を受けてハローワークの承諾印「受理番号」が必要です。
これが無いと求人票の学校への提出ができません。
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3.学校に求人票提出
求人票を採用したい高校に提出します。
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4.学校が就職希望の生徒に求人票を公開
生徒が学校に提出された求人票を確認し、応募企業を選択します。
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5.生徒より希望の就職先を学校に提示
ここでもあくまで企業への応募ではなく、学校への応募意思の提示となります。
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6.学校より企業に応募学生を推薦・紹介
学校が、求人企業に応募学生を推薦・紹介します。
後述しますが、1人1社制のルールがあるため、学生は一人1社しか応募できません。
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7.応募前職場見学
ようやくここで企業と学生が職場見学として接触できます。
企業が学生に自社をPRできる唯一の場です。
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8.面接・就職試験
企業はハローワークに対して、採用選考試験結果の連絡をすることが義務付けられています。
後述しますが、大学生の採用活動と大きく違う点として学生は1社しか応募できず、内定を獲得した場合、基本的に辞退できません。
以上が、高校生採用の大まかな流れになります。
あくまで学校斡旋の就職であるため、ハローワークと学校が介在した活動が基本ルールとなります。
高校生採用のルール③:1人1社制
大学生採用と大きく異なるルールがこの1人1社制ルールになります。
一次応募中の一定期間、一人の学生は1社しか応募できないルールであり、その企業の選考結果が出るまで他社の選考を受ける事はできません。
また内定を獲得した場合、内定辞退は基本的にできません。
高校生は学業が最優先であり、就職の機会を与えるために設けられたルールです。
一人1社しか応募できないため、どの企業に誰が応募するか企業ではなく学校側で「校内選抜」と呼ばれる選考があります。
一般的には指定校推薦と同じように、成績順で選抜されており、推薦が無いと学生は応募する事さえかないません。
学生は希望通りの企業へ応募さえできず、採用する企業ではなく学校が選抜すると言う不思議な制度ですが、地域によって時期など多少の違いはあれど、今なお重要なルールとして存在しています。
企業は内定を出した学生に辞退されるというリスクが無いと言えますが、学校側としては他に希望する生徒を落として推薦しているため、安易に不合格を出さないで欲しいと言う強い思いがあります。
今後も良い学生を推薦して欲しい企業としても、安易に不合格が出せなくなるしがらみが生まれやすい制度でもあるように感じます。
一次募集は1社。一次募集で内定が出なかった場合の二次募集は2社制の地域が多いです。
高校生採用のルール④:厳格なスケジュール
大学生の就職活動が就職協定が形骸化し、インターンなど早期化が進んでいますが、高校生採用ではスケジュールが厳格に決まっています。
地域、年度によって多少違いがあります。
2024年4月入社高卒採用の一般的なスケジュール
6月1日:ハローワークによる求人申込書の受付開始
7月1日:企業による学校への求人申込及び学校訪問開始
9月5日:学校から企業への生徒の応募書類提出開始
9月16日:企業による選考開始及び採用内定開始
10月以降:二次応募開始
このように高校生採用には未成年保護の観念から多くのルールが設けられており、ルールにのっとった形での採用活動となります。
高校生採用での注意点
広報相手は学生ではない!?
大学生の場合、リクナビ、マイナビのような求人サイトや求人票を学生が直接見て、判断するので学生向け広報と言えますが、高校生採用は学校斡旋のためそこに学校(担当教諭)の意図が入ります。
学校からすると生徒を送り出す視点で企業を見ており、来年以降の後輩の就職活動にとってどうなのかという視点でも企業を見ます。
1人1社制の縛りの中、優秀学生をどの企業に推薦するかは学校の先生の意図が大きく関わります。
そういう意味で広報相手として意識しないといけないのは学校の就職担当の先生と言えます。
離職をどう防ぐか
入社3年の大卒の離職率が約30%と、よく問題になりますが、高卒の入社3年目の離職率は40%に上ります。
詳細に見ると2年目、3年目の離職率は高卒、大卒とそれほど差はありませんが、1年目の離職率は大卒で平均10%程度ですが、高卒では約20%と大きく違いが出ます。
つまり、高卒は入社してすぐに辞めてしまう場合が多く、採用のミスマッチが発生しています。
これは本人の幼さや仕事内容など色々原因はあると思いますが、一つには企業と本人の直接交渉が無いため、社風や仕事内容の擦り合わせがあまりないのも原因と思われます。
また、選考を学校が担っているため、本当の適性を判断できていないという問題もあるかと思います。
入社後のフォローが大切と言えます。
スケジュールと事前準備
スケジュールが厳密に決まっているので、それに合わせた事前準備とスケジュールに合わせた活動が大切です。
スケジュールは上記記載しましたが、企業側がしないといけない項目と注意点について詳細スケジュールを改めて記載したいと思います。
それくらい高卒採用ではスケジュールが大切なのです
1、ハローワーク主催の『学卒求人説明会』に参加する
*5月下旬から順次開催。参加必須
2、ハローワークに【求人申し込み書】を提出する(6月1日~)
*7月1日に間に合うようにできるだけ早く(6月上旬提出で7月上旬受理)
3、ハローワークが求人票を受理し、発行する(7月1日~)
4、発行された求人票のコピーを高校に郵送or持参する
*採用パンフレットも同封
*職場見学予定表も同封
*先生は到着順で処理するのでできるだけ早く
*唯一データ以外で説明できる機会なのでできれば持参
5、応募前職場見学を受け入れる
6、応募書類の到着(毎年9月5日から/随時発送)
7、試験日時(毎年9月16日解禁)を決定し、学校に通知する
8、採用試験の実施
*面接必須、通常面接1回のみ、書類選考のみ不可
9、採否結果の通知
*合否判定は遅くても10日以内、できるだけ早く!
(生徒は1社しか応募できないので結果が遅くてさらに落ちると非常に不利になるため、先生の心証がかなり悪くなる)
二次募集をどうするか
高卒就職希望者の60%は一次募集で就職先が決まります。
一次募集で採用数を確保するのが望ましいですが、まだ40%の学生が二次募集に残っているとも言えます。
また、二次募集は進学予定や公務員志望だった学生が、何らかの理由で進路変更した学生もいるため、思わぬ優秀学生と出会える可能性もあります。
二次募集ではそういう優秀学生を推薦してもらうためにも、なおさら学校の先生との関係性が問われます。
高校生は採用しやすい訳ではない!
大卒より高卒の方が採用しやすいとお考えの方がまれにいらっしゃいますが、高卒が大卒より採用しやすいという状況では決してありません。
調査主体がハローワークとリクルートワークと違うので、単純に比較できませんが、求人倍率を見ていただいても、令和5年(2023卒)の高卒求人倍率は3.01倍と、大卒の1.58倍(リクルートワークス)よりはるかに難しい状況と言えます。
これは進学率が年々高まっている上に少子化の影響がもろに出ており、高卒で就職する学生が急減している事、コロナ禍が落ち着き、接客サービス業などの求人が急回復しているため高卒採用のニーズが非常に高まっているのが原因です。
また、大卒採用は直接広報ができるので、極論、広報にお金をかければ応募者母集団だけならどうとでもなるのですが、高卒採用の場合、学校が介在するため、しがらみや長年の実績、人間関係がからみ、お金ではどうにもならない状況で採用しないといけません。
令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ(令和4年7月末現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jakunen/2023CK_job_opening_to_applicants_ratio_202207.html
リクルートワークス 大卒求人倍率調査(2023年卒)
https://www.works-i.com/research/works-report/2022/220426_kyujin.html#:~:text=2023%E5%B9%B4%E5%8D%92%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%8D%92,%E4%BA%88%E5%AE%9A%E6%95%B0%E3%81%8C%E4%BC%B8%E3%81%B3%E6%82%A9%E3%82%93%E3%81%A0%E3%80%82まとめ
高卒採用は、ルールや過去の実績などが複雑に関わるため、安易に活動して採用できるマーケットではありません。
しかし、逆にしっかり取り組み、学校との関係を構築できれば、安定的に人材を採用できる方法です。
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